真正スパイク(スパイクハーブ)について
スパイクハーブ(Valeriana celtica ssp. norica)は、バレリアン科に属する「ケルト・バレリアン」とも呼ばれる非常に珍しい高山植物。
歴史においても現代でも、非常に貴重なハーブです。

真正スパイク(スパイクハーブ)について

古代文献にもその名がみられ、古くから薬草として使用されてきたヒーリング・ハーブ。
その働きは現代では、体と心に同時に深く働きかける事が分かっています。
多くのハーブは自律神経の交感神経、副交感神経のどちらかに働きかけるものが多いですが、 同時に両方に同じ方向性で働きかけるこのハーブは貴重な存在です。

紀元前500年ごろにはすでに文献にあらわれており、当時の文明の中心地、中近東や北アフリカなどに「輸出」されていた記録が残っています。
現在ではオーストリア・アルプスの標高1800メートル以上の山岳地(ケルンテン地方)を中心に育っています。(現在は、保護高山植物として守られています)


古くからオリエント、ヨーロッパで、「ヒーリングのハーブ」として珍重され、中世の文献にもハーブ薬として、神経系、皮膚、胃、
心臓などへの効能、抵抗力を高める効能が広く紹介されており、旧・新約聖書にも重要な儀式の際に使用された真正スパイクに関する記述が見られます。
ユダヤのダビデが王になる際、スパイクオイルによって「塗油」され、またイエス・キリストは十字架に渡される前、
マグダラのマリアによって「塗油」されました。
旧・新約聖書でも最も大切な瞬間に現れるこのオイル、当時どれだけこのオイルが貴重とされていたかを示していますし、
また反対にこのオイルが象徴する重要さを伝えています。


真正スパイクは、人間が用いた最も古いハーブ薬のひとつで、近世ではお茶、軟膏などのかたちで摂取することによって、
20世紀前半までは薬典に記載されてきました。
また、古来高貴な花嫁のまとう香り、王族の入浴や化粧の一部として使用されてきていました。


中世のハーブ医薬辞典では、
■痙攣などの発作的な痛みや症状に効く
■胃の痛みを緩和して、胃を強くする
■発熱、歯痛
■心臓や神経を強める
■失神、気絶、めまい
■脳、肢体を強める
などの記載があります。(文献はスパイク博物館のあるVoelzに保存されています)
1586年の薬典では、酢で抽出したエキスは、肝臓の腫れと黄疸に効くとされています。
また1731年には消化器系を助ける薬として紹介され、19世紀まで薬としても使用されてきました。
そしてつい70年ほど前までは、その地方の人たちもお茶や化粧品、入浴などに愛用をしてきていました。


このようにスパイクハーブは、古くから20世紀初めまでオーストリア・アルプスに非常な「富」をもたらしましたが
(古くは金と同じ重さで取引をされていた)、1900年代に入り真正スパイクハーブの減少、絶滅を心配したオーストリア政府は、
1936年にその収穫を禁じ、その後このハーブは市場に出ることもなく、「スパイク」の名前も聞かれることがなくなってしまいました。


しかし、これまで真正スパイクの収穫を続けていた農家の人たちの考え方は異なりました。

収穫の際にその根を掘り起こすのですが、この工程で土は十分な空気を得、収穫によってちぎれた根から翌年新たな強い根が伸び、
花が咲くことを、長年の経験から知っていたのです。
政府の収穫禁止命令を受けた後、真正スパイクが減少することがあっても、増えることはありませんでした。


一方、スパイクハーブを配合した化粧品を製造していたワルターラウ・スパイクベルグは、この収穫禁止を受け、
一部の株をドイツのアルプスやシュバルツバルト(黒い森)やドイツアルプスで育てることを試みましたが、気候、また土壌の違いにより、
同じ品質のエキスや精油を得ることはできませんでした。
また、類似のスパイクがヒマラヤで収穫されるため、その成分などを分析しましたが、
やはりオーストリア・アルプスを中心として育つ真正スパイクのものとは異なりました。
その後ワルターラウは、このアルプス地方の農家の人々がおこなってきた伝統的な「真正スパイク狩り(=収穫)」を守るため、
ウィーン大学との10年に渡る共同研究を行いました。
そして、農家の人々が言う、「収穫作業に伴って真正スパイクがより豊かに育つ」ことを証明したのです。
収穫の際には、十分に根本の土に空気を入れ、「狩る」量は最大50%まで。
その株の様子を見ながら、通常3年ほどのスパイクを収穫してゆきます。


現在は、ワルターラウ・スパイクベルグ社のみが、オーストリア政府から独占許可を得て、
国立公園内で許可を得た2件の農家によるスパイクの収穫を許されています。
大切な真正スパイクハーブは、オーストリアのノックベルグと呼ばれる国立公園内で、ワルターラウのためだけに、
何百年も続く伝統的な手法で一つ一つ手で丁寧に収穫されます


1キロの精油を得るためには、約500キロの真正スパイクが必要です。
5センチから15センチの細い小さな茎を伸ばし、その白・黄色・赤みがかった花たちは、たったの3ミリほど。
その小さな植物のパワーの源は、アルプスの厳しい気候で育つ植物の根にあります。
その根から得られる精油とエキスにこそ古代から人々が得たかった、中枢神経と自律神経に
同時に働きかける高い活性作用と鎮静作用があり、からだ、お肌、「こころ」にハーモニーとバランスをもたらす働きがあります。


小さな花は毎年7月ごろに咲き、8月15日から9月8日ごろ、定められた量が大切に収穫されます。
収穫を迎える秋、この地方のアルプスを歩くと、天気のよい日には特有のスパイクハーブの香りが澄んだ空気に満ちています。
ワルターラウ・スパイクベルグ社の製品に使用されているスパイクハーブのエキスは、オーストリアの国立公園にある山岳地帯で集められる、
「野生有機認定」の認証を得たエキスです。